八神くんのお気に入り
自覚して
何を話したら良いのかわからなくて、正門から無言のまま結構歩いた。
「……」
「……」
歩く度にジャリジャリと聞こえる砂の音。
「や、八神くん……ありがと」
「何が?」
「あの時、怖くて……八神くんの名前呼んだら来てくれて、嬉しかった」
「……」
急に私の足音しか聞こえなくなって、振り向くと八神くんが立ち止まっていた。
……?
「八神くん、どうしたの??」
駆け寄ると八神くんは私の髪をかき上げ、ジーッと見つめた。
っ!!
八神くんが見ているものがわかって、急いで首を隠した。
「……付いて、る……??」
八神くんを見つめるけど、視線は首にいってて目が合わない。
「噛んでいい?」
「え?」
その言葉に1度だけ心臓が大きく飛び跳ねた。