八神くんのお気に入り
「嫉妬でおかしくなりそう。俺だって我慢してんのに」
えっと……
こういう場合は、どうしたら……?
噛ませるの??
それとも……私が、八神くんに……??
「そんな顔しないで。俺が悪いみたいじゃん」
その顔が切なそうで……私、八神くんを傷付けてる。
「嘘だよ……嘘ってことにしといて」
ワシャワシャと頭を撫でてくれてるのに、胸が苦しい。
だからだろうか。
「か、噛んでも……良いよっ!」
とんでもないことを口走ってしまった。
きっと今の私、顔が真っ赤だ。
恥ずかしくて死んじゃいそうだもん。
でも……八神くんの苦しそうな、切なそうな顔は……見たくないから。
「いいよ、無理しなくて。それに噛むだけじゃ足らないから」
「無理じゃないのっ!感触が消えなくて、気持ち悪くて……八神くんに消してほしい」
今言ったことは無理してる訳じゃなくて……本当の事。