八神くんのお気に入り
その瞬間、八神くんは自分の顔を殴った。
え、
「八神くん!?」
何が起きたのか理解出来なくて、少しよろけた八神くんを支えた。
「いって〜、力入れすぎた」
「どうしたの??急に」
ジーッと私を見つめる八神くんのほっぺたは、殴ったせいで赤くなっていた。
「大丈夫?」
ソッと手を伸ばすと弾かれた。
「今はダメ」
え?
「ダメって??」
「止まらなくなるから……触るのもダメ」
「あ……」
急に恥ずかしくなって、私は俯いた。
はぁ〜っと、溜め息が聞こえた。
「悪い莉子。帰るか」
「う、うん」
公園を出た私達は少し距離を保ったまま歩いた。
────…
次の日の放課後。
八神くんがお腹空いたって言うからハンバーガーショップに寄った。