八神くんのお気に入り
髪の毛が胸まであり、スタイルが良くてまつ毛も長くて……すごい美人……。
それが葵さんだとすぐにわかった。
「八神くん、まだ来てないのかな?」
「まだ葵さんがいるから、そうなのかも」
「俺がどうしたって?」
突然背後から声が聞こえ、振り返ると八神くんがいた。
「八神くんっ……」
「は?2人して何だよ……?」
顔に出てたのか、八神くんは一瞬困った顔を見せたけど、葵さんの存在に気付き「なるほどな」と呟いた。
何も言わず、頭をワシャワシャと撫でてくれる八神くん。
胸がキュンとして、満たされていく。
「あ、楓!」
葵さんが嬉しそうに走ってくるのがわかる。
満たされたものが……また消えていきそう。
「今更何の用」
「やっぱり怒ってる?ごめんね事故った時に携帯も壊れちゃって……」