八神くんのお気に入り
「は?事故ったって……」
「やっぱり先生言ってなかったんだ〜」
葵さんは苦笑いをした後、八神くんの手を優しく握った。
「あの日、事故に遭って行けなかった……ごめんね、楓。ずっと待ってた?」
「は……?当たり前だろ!」
「私、ずっと楓に会いたかったの……でも携帯壊れて……声も聞けなくて……寂しかった」
葵さんの声が震えてるのがわかった。
どうしよう……。
胸が押しつぶされそう。
本当に……2人は付き合ってたんだ……。
「私達……まだ終わってないよね?」
私は2人を交互に見る事しか出来なくて。
さっきから黙ったままの八神くんは、何か悩んでる様子で……。
菫が私の肩を支えるように手を乗せた。
「八神……」
菫がそう言ったのと同時に、1粒の涙が私の頬を濡らした。