八神くんのお気に入り
「裏切られてない相手ならすぐに関係が戻っても良いはずなのに、悩んでたんだろ?だったら少なくとも小早川さんの想いはあったはずだ」
下を向けば、ポロッと涙が溢れた。
何でかな……
何で……2人ともこんなに良い人なんだろう。
いつも八神くんと上手くいくように背中を押してくれる。
だったら……私もそれに応えなきゃ。
袖で涙を拭い、両頬を叩いた。
「ありがとう。私、放課後八神くんに会ってくる」
「うん。頑張れ」
ニッコリ微笑む菫に、もう1度心の中でお礼を言った。
────…
「じゃあ気を付けて帰れよー」
そう言って担任の先生は教室から出て行った。
放課後が近付くにつれ緊張する気持ちが強くなって、今まさにドキドキと心臓がうるさくなった。