八神くんのお気に入り

「裏切られてない相手ならすぐに関係が戻っても良いはずなのに、悩んでたんだろ?だったら少なくとも小早川さんの想いはあったはずだ」


下を向けば、ポロッと涙が溢れた。



何でかな……

何で……2人ともこんなに良い人なんだろう。



いつも八神くんと上手くいくように背中を押してくれる。


だったら……私もそれに応えなきゃ。



袖で涙を拭い、両頬を叩いた。



「ありがとう。私、放課後八神くんに会ってくる」

「うん。頑張れ」


ニッコリ微笑む菫に、もう1度心の中でお礼を言った。





────…



「じゃあ気を付けて帰れよー」

そう言って担任の先生は教室から出て行った。



放課後が近付くにつれ緊張する気持ちが強くなって、今まさにドキドキと心臓がうるさくなった。


< 475 / 511 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop