八神くんのお気に入り
「いや、多分いると思うけど……」
「私、探してくる!」
そう言葉を残して、私は廊下を走った。
当てなんかないけど屋上に行ってみた。
ドアを開けても誰もいなくて……ここじゃなかったみたい。
もしかして、葵さんのクラスにいるんじゃないかな……。
うあ……ダメダメ!!
すぐに悪い方向に考えてしまう。
そうだ!中庭!
そこに行ってみよう!
屋上から急いで階段を降りていく。
降りている途中で廊下で葵さんの姿を見つけ、私は急いで物陰に隠れた。
……あ、あれ?
何で咄嗟に隠れてしまったんだろう。
疑問に思いつつ物陰から出ようとした時だった。
「葵、最低じゃん」
「ヤンキーくん可愛そ〜」
なんて話し声が聞こえた。
「いや、ほんと焦ったから。どうやって逃げようかと」
……え?
その声は紛れもなく葵さんのもので。