八神くんのお気に入り
何から言えばいいのだろう……。
いきなり“好き”って言うのは変な気がする。
サァァと風が吹き、八神くんの銀色の前髪を揺らした。
「八神くんは葵さんのこと……好き?」
私の質問に八神くんは答えてくれなかった。
無言が肯定しているような気がして……。
だったら、最後にこの想いだけは伝えたい。
八神くんが私に伝えてくれた想い……嬉しかった。
「私、八神くんが好き」
私はニッコリ笑って見せた。
「いっつもそばで助けてくれてありがとう……一緒にいて、笑ってくれて……楽しかった」
ばか……。
泣くな。私。
八神くんが好きなのは葵さんなのに……
迷惑かけたくないのに……
諦めなきゃいけないのに……
葵さんの所には行って欲しくない。