八神くんのお気に入り
もう、やめたい
「で、友達になったんだ?」
机の上で肘をつけてる菫。
その声は、明るいいつものトーンじゃなくて…まるで拷問を受けてるみたい。
表情までも怖く見えてしまう。
「うん…」
「怖いって言ってなかった?」
「うん、怖い…」
菫は深いため息をついた。
「もういっそのこと責任取ってもらえ」
「責任??」
「キスした責任」
「あ…」
忘れてた訳じゃない。
忘れてた訳じゃないけど…そう言うこともあったな。
「おはよ、小早川さん。昨日大丈夫だった?」
私達の前に来た黒髪ロングでメガネのクラスの委員長。
「昨日?」
「何もされなかった?なんか“楓”って呼ぶのがどうとか…」
「あ。大丈夫、何もなかったよ」
心配かけないようにと、私はニッコリ笑った。
「そっかぁ良かった!何もなくて」
そう言って委員長は自分の席に戻ったんだ。
「これで何回目?」
ご機嫌斜めの菫に私は苦笑いをした。
「朝学校に来てみればHR始まる前って言うのに…!」