八神くんのお気に入り
「話はつけてきたか?」
「……別れない」
目線も合わせずにそう言うと、勢いよくお父さんに腕を掴まれた。
「あいつと付き合って何の得がある?あんな見た目で喧嘩が日常茶飯事の不良と……!悪影響を及ぼすだけだ。何を脅されたんだ。関わるな」
「何も知らないくせに八神くんを悪く言わないで!!」
掴まれた腕を振り払うと、バシッとお父さんに頬を叩かれた。
「あなたっ!!」
「いい加減にしろ莉子。目を覚ませ」
っ……!
「莉子っ!」
私は走って自分の部屋に行った。
う……うぅ……。
八神くんを何もわかってくれないこと、
お父さんに叩かれたこと、
全部悲しくて……涙が止まらなかった。
────…
ピピピピッ
鳴り響く音に目覚まし時計を止めた。