八神くんのお気に入り
バタバタと走ってきた女の子達は、教室にいる私に指を指した。
「ほらほらあの子」
「え!あの子が八神くんに連れ去られた人?」
「ふつー」
クスクスと廊下で笑う女の子達。
菫は廊下にいる女の子を睨んだ。
「朝からこの噂で持ちきりだよ…」
はぁ〜。っと再び深いため息をついた菫。
「え、えへ」
“この噂”とは、昨日の八神くんと私の話である。
正門であんなに目立って、それからの“話がある”だもん。
噂にもなるよね。
私が耳にしたのは…
“八神に呼ばれて無事だった小早川莉子って何者!?”
“八神くんを好きとか嫌いとかで、もて遊んでる”
“あの銀髪の八神を名前で呼んでるらしい”
“小早川莉子は女番長”
…酷い言われよう…。
「莉子ってすごい人と友達になったよね」