八神くんのお気に入り
クソだせぇ……。
やられる方もだけど、やる方もどうかと思う。
醜い。
3対1なら素直に渡した方が身のためなんじゃねぇのおっさん。
遠くの方でそいつらを眺めながらそう思ってたら、おっさんが殴られた。
ほら、言った通りだろ。
あ?もう1人いる?
4対1?
暗くて見えねぇな。
ま、どうでもいいか。
それより八神に連絡しようと思い、スマホに視線を移したが聞き覚えのある声にすぐ顔を上げた。
「あいつ……何してんだよ」
もう1人って八神だったのか?
カツアゲとかクソだせぇよ。
ゆっくり近付き、俺は隠れた。
「カツアゲとかクソだせぇことしてんじゃねぇよ」
ん?
八神の声?
カツアゲしてる訳じゃない……?
チラッと覗くと、おっさんは地面に座ったままで、八神はカツアゲヤローの胸ぐらを掴んでいた。