八神くんのお気に入り
「仲良くしてもらうときに約束したんだ……悲しませないように莉子が大事にするもの全部、俺が守るって」
八神……。
「どうして君はそこまでするんだ。」
小早川さんとこの親父が立ち上がり、ズボンを叩いた。
「こんな俺を疑わずに信じてくれたのは莉子だけなんだ。素直で真っ直ぐで……優しい彼女に心を奪われた。だから俺も莉子の日常を全力で守ると誓ったんだ」
「……わかった」
「今日は……失礼します」
そう言った八神は暗闇の中を歩いて行った。
外灯の下で残る1人の影が伸びていた。
まるで暗闇の中に消えた八神を追うように。
……今日は八神ん家行くの辞めとこ。
来た道を引き返そうと、俺も暗闇の中に入って行った。