八神くんのお気に入り
「莉子ー!!」
朝、私を見つけるなり菫は抱きついてきた。
へへ。菫だ。
「会いたかった」
「私もだよ〜!!」
泣きながら言う菫に私も泣きそうで。
「せっかく両想いになったと思った途端これだもん!……八神……許してもらえたの?」
「これから八神くんに会いにいってくる」
ニッコリ笑ってそう告げると、察しの良い菫はまた私に抱きついた。
「良かったね」
「うんっ」
菫と一緒に5組に行くと、私に気付いた八神くんは驚いた様子で教室から出てきた。
「何で学校にいんの?」
「えっとね……」
少し俯いてそう言うと、八神くんの手が私の頬に触れた。
ドキッ
「何かあった?」
「え?」
「目、赤くなってる」
もう……八神くん、ちゃんと私を見てくれてるんだな。
そう思うと嬉しくて……