八神くんのお気に入り
キーン コーン カーン コーン…
午前の授業終了のチャイムが鳴った。
「ふぅ…」
開いていたノート達を閉じる。
「莉子ー」
財布を持った菫が私の席に来た。
「今日食堂やめとく?」
「でも菫、ご飯…」
「パンでも買うからいいよ!食堂に行ったら絶対ヤバイって」
「あ…菫ごめんね」
「だから良いって!」
はにかみながら、財布でバシバシと私の肩を叩く。
「痛い痛い」
「あっははー!じゃ、行ってくるねー」
そう言って菫は教室を出て行った。
机に置いてある教科書とノートを机の中にしまう。
「ふぅ…」
休み時間のたびに教室を覗かれては指を指される。
クラスのみんなは、朝聞いてきた人には説明した。
あとは隣に菫がいるからって理由か、噂話は聞かない。