八神くんのお気に入り
カバンからお母さんに作ってもらったお弁当を取り出した。
食欲…無いな…。
「へぇ〜あれが小早川さんね」
廊下の方から聞こえてきた声。
私はスカートの上で手を握り締めた。
まただ。
もう嫌だ
こんなの。
「莉子行くよ」
「わっ」
勢いよく帰ってきた菫に、腕を引かれて教室から出て行った。
ビニール袋を片手に、振り向きもしない菫に声をかける。
「菫?!どこ行くの??」
「屋上!」
菫はそう力強く言ったんだ。
屋上へと続く階段で、菫は足を止めた。
勢いよく振り向く菫に、ビックリして持っていたお弁当を落としそうになる。
「ここで食べよう!」
「う、うん」
言われるがままに、私は座った。