八神くんのお気に入り
……。
膝の上に置いてあるお弁当を握りしめる。
そんな私の顔を菫は心配そうに覗き込んできた。
「どうしたの?食べないの?」
「食欲…無い」
「ダメだよ。莉子のママがせっかく作ってくれたんだから少しでも食べな」
「……」
「言ったでしょ?何かあったら私がその人に直接言いに行くから。何も心配しないで」
「…ん…」
「ほら食べよ?」
そう言って膝の上に置いてあるお弁当を開ける菫。
「わぁ〜このヒヨコの顔をした卵可愛い〜♡莉子のママほんと器用よね」
楽しそうに振る舞う菫を見たら、すごくすごく胸が痛んだ。
私の心が落ちてるから、元気付けようとしてくれてる。
そんな菫の気持ちを無駄にしたくない。
それにヒヨコの顔を見るとなんだか笑えてきて…
「ふふ」
「何笑ってんのよー」
ごめんね、菫。
こんなに心強い友達がいるもんね。
元気出すよ。