八神くんのお気に入り
「…っ…」
あんなに…
あんなに、私を励ましたりして助けてくれたのに…
「あーあ。泣いちゃったよこの子」
「この子もどうする?」
そう言った先輩は菫の髪を掴んで持ち上げた。
「やめて!」
もうこれ以上…
菫を傷つけないで…。
「ホテル…行きます…だから…これ以上、友達を傷つけないで…」
「なら今から行こうか♪」
先輩が私から離れて、嬉しそうに手招きした。
菫を助けられるのなら、
もう何でも良い。
私は目を閉じてコクンと頷いた。