八神くんのお気に入り
「離せ…!」
菫のそばにいた先輩が八神くん目掛けて殴りかかった。
それを綺麗に交わした八神くんは、先輩のみぞおちに拳を入れた。
その瞬間、私は菫の元に走った。
菫を抱きかかえて口元の血を拭く。
「菫!菫!返事してよ!」
「う…」
バタリと倒れ込んだ先輩。
嘘…
菫の次に先輩も倒れるなんて…
こ、怖い…。
私は菫を力強く抱きしめた。
「早く立てよ」
机に倒れ込んだ先輩の胸ぐらを再び掴んだ八神くん。
「う…」
「また八神か!」
バタバタと生徒指導の先生達が教室に入ってきた。
「チッ」
八神くんは掴んでいた手を離し、
「次は無いと思え」
そう言い放った。