八神くんのお気に入り
「大丈夫だった?何もされてな──…」
「もうやだ!」
私は八神くんの言葉を遮った。
「もう…嫌…」
ポロポロと涙が出てくる。
「八神くんといると苦しいよ…
変な噂流されて…菫も巻き込んで…
教室…戻りにくいよ…
息が詰まっちゃう…!」
溢れ出す涙を袖で拭く。
でも、やっぱり涙は止まらなくて…
「友達…やめたい…」
消えそうな声で、そう言ってしまった。
私の頬を伝う雫を、八神くんは指で拭った。