八神くんのお気に入り
「それだったら良いよね?」
菫…
菫の優しい声に私はコクコクと頷いた。
それを見たクラスメイトは、また謝ったんだ。
私に“ごめんね”と。
────…
その日から、不思議と噂話は聞かなくなった。
休み時間も他のクラスの人が来ることはなくて…
あの日が嘘のように安心して教室にいられる。
それから何日か経って
停学解除された八神くんが学校に来てる
って噂を聞いた。
「私さ、八神にお礼言おうと思ってるんだよね」
移動教室の帰り道で、そう言った菫。
「あの時、八神が来てくれてなかったら私達ヤバかっただろうし…」
「……」
「莉子はもう言った?」
「んーん…」
「言わないの?」