八神くんのお気に入り
残りの授業も終わり、後は掃除のみ。
「莉子ー今日どっか寄り道して帰ろー?」
ホウキを持った菫が私のところに来た。
「クレープ食べたい!」
「いいね!行こ行こ」
「じゃあ私ゴミ捨てに行ってくる」
背中で"いってらっしゃい”の声を聞き、私は教室を出た。
急いで階段を降りていく。
急げ〜
階段を降りきって曲がり角に曲がった瞬間、
「わっ」
人にぶつかって尻もちをついてしまった。
いたたた…
「ご、ごめんなさ…」
顔を上げると、目の前に金髪のヤンキーがいたんだ。
「ひっ…!」
私はすぐさま立ち上がった。
「ん」
ぶっきらぼうにそう言った金髪のヤンキーは足元に転がったゴミ袋を拾って、私の前に出す。
「え?あ、ありがとう…ございます…」
顔が見れなくて、金髪のヤンキーの手を見てゴミ袋を受け取った。