八神くんのお気に入り

「くっそ」


そう言って舌打ちをした彼は再び私を見た。



ひっ!


怖い。怖いって。


「もうおまえでいいや」

窓際に座っていた銀髪の彼は、そう言って立ち上がった。



その姿は長身で、どこにそんな力があるの?って思うくらいスタイルが良い。


でも、やっぱり迫力があって……

オーラって言うのかな?


全然周りと違う。




無意識に後ずさってしまう。



「1日だけ彼女のフリをしてくれ」

「あー良い案だな。ちょうど葵もこいつみたいに髪が長ぇし」

「……へ?」


今何て……?


葵さんも私みたいに胸まで髪があるの?


私にそっくりなの??



いや、そんなことより……




私の聞き間違い?


彼女って聞こえた気が……?


「おい。アホ面しやがって、聞いてんのか?」

ひっ


金髪ヤンキーの言葉に、体が縮こまる。


怖い。怖いって!



「もう時間がねぇんだよ。今日だけでいい」



ほ、本気で言ってるの……?


む、む、ムリ!


ムリだよそんなの。


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