八神くんのお気に入り
…え?
あれ?
金髪のヤンキーが手を離してくれない。
う、嘘でしょ??
私は恐る恐る顔を上げた。
金髪のヤンキーは持っているゴミ袋を見ていて、私と目が合わない。
それにホッとした。
も、もしかして、八神くんが近くにいる?
いつも八神くんを呼んでる気がするもん…。
金髪のヤンキーを見つめているとバチッと目があった。
わっ…!!
私はすぐに視線を足元に落とした。
急に手を離した金髪のヤンキーは、何も言わず、私の横を気怠そうに通って行った。
え…
何だったの…??
キョロキョロと辺りを見渡しても、八神くんが近くにいる感じはしないし…。
訳がわからなくて、私は去って行く金髪のヤンキーをただただ見つめていた。
「莉子〜」
急に大声で私を呼ぶ声が聞こえたからビックリして肩が飛び上がった。