八神くんのお気に入り
勢いよく階段を降りてくる菫。
「どうしたの?」
「莉子ごめん!!」
そう言って菫は顔の前で両手を合わせた。
??
「さっき部活からSOSが来て、寄り道出来なくなった…!」
「仕方ないよ、また今度行こ?」
「ほんとごめんねー」
すっごい申し訳なさそうな顔をする菫は、罰が悪そうに私が持っているゴミ袋を取った。
「大丈夫だよ〜」
私は笑いながら菫の肩をパシパシ叩いた。
「でも…」
「じゃあ一緒に行こ?」
そう言った私に、菫は仕方なさそうに頷いた。
HRが終わると、急いで出て行こうとする菫が私の隣を横切って振り向いたんだ。
「バイバイ、莉子!」
それだけの事を言うために私の所に来てくれたの…?
もう、菫ったら律儀なんだから。
ふふ
「頑張ってね」
私はそう言って菫に手を振った。
仕方ない。
今日はお母さんと一緒にクレープ食べに行こ。
そう考えながら教室から出て行った。