八神くんのお気に入り
────…
3時限目が終わって机の中に教科書を片付けている時だった。
「莉子ー今日もまた息止めてたでしょ?」
呆れた様子で隣の席に座った菫。
「え、バレてる!?」
「当たり前だよ」
当たり前なんだ…
菫の言葉に苦笑いをした。
「昨日といい今日の1時限目といい、あからさまにほっぺ膨らませ過ぎ」
「嘘だ〜」
そんな私の言葉に、菫は“莉子のマネ”なんて言ってほっぺたを膨らました。
「小早川さん」
背後から名前を呼ばれ、私は振り返った。
柔らかい雰囲気を持った佐々木(ササキ)くんがそこにいた。