八神くんのお気に入り
佐々木くんは、名前が近かったのもあって、入学したての頃は私と前後の席だった。
話している内に仲良くなっていったんだけど、今は少し席が離れているのもあって挨拶を交わすだけ。
佐々木くんは顔が整ってて、綺麗な二重の、いわゆるイケメン。
明るい性格の佐々木くんの周りには男女問わずいつも人がいる。
私達の学年で知らない人はいないだろう。
「佐々木くん、どうしたの?」
「原田(ハラダ)くんが呼んでる」
原田くん…?
誰って思ったけど、佐々木くんが指を指した方向を向くと誰だかすぐにわかった。
「え…!」
「莉子、何かした?」
教室の入り口にいたのは、あの金髪ヤンキーだ。
早くしろと言わんばかりに睨んでいる。
ひ…!
ガタンッと音を立てて、椅子から立ち上がり
「行ってくる!」
それだけ残して、小走りに金髪ヤンキーの元へ向かった。