八神くんのお気に入り
「おい」
突然聞こえた声にビックリして足を止める。
「はいっ!…あれ?」
金ぱ…原田くんは前にいなくなってて、気付けば階段を上がっていた。
考え事をしていたせいか、どうやら私は全然違う所に行こうとしていたみたい。
は、恥ずかしい。
私は慌てて階段を上がった。
階段を登って登って登って…
どこまで登るの??
そろそろ上がれなくなりますよ??
そう思った途端、屋上前の踊り場で原田くんは足を止めた。
そして振り返って、私をひと睨み。
ひっ!
原田くんは気怠そうに壁に寄りかかったんだ。
「別に言う必要はねぇんだけど、八神が可哀想だから言う」
そう言って、原田くんは話を続けた。