八神くんのお気に入り
「あいつ、小早川さんの噂を聞くなり、すっ飛んでクラスに行ったんだけど…」
原田くんはチラッと私を見た。
ドキッ
「絡まれてたらしいな」
何も言わず、私はコクンと頷いた。
「あの後、噂流れてねぇだろ?」
「…え?」
噂…
たしかに流れていなかった。
不思議に思ってたけど、また嫌な思いするんだったら、流れていない方が良いと思って考えないようにしてた。
「あの日、八神が、しらみ潰しに張本人を探し回ってたの知らねぇだろ?なのに小早川さん、八神を避けるような態度して…それねぇだろ」
「え…、ちょっと…ま……え?」
ま、待って。
どーゆうこと??
何で?
「何で、八神くんが…?」
「知らねぇよ。急に片っ端からクラスに行きやがって…みんな怖がって言わねぇよ」
何で…
何で…
そんなこと…