八神くんのお気に入り
「2年生になっても莉子と同じクラスだったら良いなぁ」
「私も菫と同じクラスだったら良いな」
「別々になっても毎日クラスに遊びに行くから!」
「ふふ、私も」
靴を取り出そうとして、蓋つきの下駄箱を開ける手が止まる。
「……」
「ん?どうしたの?」
ひょこっと菫が私の下駄箱を覗いてきた。
「何コレ?…いじめ?」
真顔の菫に、私は首を横に振った。
私の下駄箱の中にはお花がいっぱい入っている。
白いマーガレットの花。
萎れたものから、綺麗なものまで。
ある日突然、下駄箱の中に花が置かれだした。
八神くんが停学解除されたって聞いた噂も、同じ日だった。
……。
誰が入れたかなんて…
そんなの…わかるよ…