八神くんのお気に入り
八神くんがフワッと優しく私を抱きしめた。
え…??
「泣くなよ」
その声が優しくて…
我慢していたものが崩れていく。
「みんな、八神くんと関わったらいけないって言う…
八神くん…いい人なのに…」
「いい人じゃねぇよ、相手が小早川さんだから…」
優しい声を出し、抱きしめる力が強くなる。
「ごめんなさい。友達やめたいって言って…私は…八神くんと一緒にいたい。友達でいたいです」
私も八神くんの背中に、控えめに手を回した。
「でも…八神くんといたら菫が…、菫も…巻き込まれちゃう…菫…私を助けてくれるから……」
八神くんの手が私の頭を撫でた。
その手が心地よくて…余計に涙が出てくる。
「辛いよ…苦しいよ…八神くんと…友達でいたいのに…」
八神くんの優しさに答えられない自分がもどかしい。