3LDK、バス・トイレ・〇〇付き
第11話

エピローグ

なつきとまなみは、悌二郎達の元へ駆け寄った。

「悌二郎君…。」
なつきは心配そうに、
「大丈夫?」
と訊いた。

「ま、松平様…。」
悌二郎は二人を見て、
「お怪我はございませんか?」
と弱々しい声で訊いた。

「大丈夫だよ、ありがとう。」
と、なつきは答えた。

「みんなもありがとうね。」
まなみは、幽霊達を見た。

「今日は、私が飯盛山で自刃してから150年なのです…。」
と、悌二郎は言った。

「え?」
なつきは悌二郎を見た。

「長州藩に、150年の積年の恨みを晴らし、松平様をお守りする事が出来ました。」
と悌二郎は言った。

「私、会津藩とは無関係よ…。」
と、なつきは言った。

「存じております。」
悌二郎は頷くと、
「しかし、“松平様”というお名前の方をお守り出来た事には変わりませぬ…。」
と答えた。

「松平様…、佐川様…。」
悌二郎は二人を見て、
「お二人にお会い出来て、楽しい日々を過ごせました…。」
と言った。

「私も楽しかったよ…。」
となつきは言った。

「私もだよ…。」
まなみも答えた。

悌二郎はよろよろと立ち上がった。

他の幽霊達も立ち上がった。

そして、幽霊達は一斉に正座をした。

「!?」
「!?」
なつきとまなみは、顔を見合わせた。

そして、幽霊達をみた。

「松平様…、佐川様…。」
悌二郎は背筋を正すと、
「短い間でしたが、お二人にお仕え出来て幸せでした。」
と頭を下げた。

「幸せでした。」
と、他の幽霊達も頭を下げた。

「こちらこそ…。」
なつきは正座をして、
「幸せでした。」
と頭を下げた。

「私も、幸せでした。」
まなみも正座して、頭を下げた。


━━その時、悌二郎達の身体が光り始めた。

そして、幽霊達は光に包まれた。

その光が、消えると同時に、悌二郎達も消えてしまった。

「え?」
「え?」
二人は、驚きを隠せなかった。

━━部屋の中の空気が変わった。

すごく軽くなった感じがした。

「なつき、これって…。」
まなみは、なつきを見た。

「う、うん…。」
なつきは頷いた。

空気が軽い━━それは、悌二郎達が消滅した事を意味していた。

「なんか…。」
まなみは寂しそうに、
「いなくなると…寂しいね…。」
と言った。

「そうだね…。」
なつきは遠くを見つめて、
「なんか、楽しかったよね…。」
と呟いた。

それから二人は夜通し、悌二郎達との思い出を語った…。

━━いつの間にか、夜が明けていた。

この夜明けは、二人の新しい生活の幕開けでもあった…。




《終》
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