追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
晴れの日もモフモフ
セント・ヴィンセント学園の大聖堂の中央で、ヒロインの少女が眉目秀麗な五人の男子生徒に囲まれて、小刻みに肩を震わせていた。
目前に迫るエンディングを前に、私のコントローラーを持つ手にも自ずと力が篭もった。
私は画面に示されたみっつの選択肢の中から、迷わずに【あなたたちの中からひとりを選ぶなんて出来ないわ】を選んでカーソルを合わせる。
――ピコンッ。
聞き慣れた決定音があがった直後、『桃色ワンダーランド』のエンディング曲がクラシックのオリジナルバージョンで響き渡った。
そうして、陽光を受けてキラキラと輝く大聖堂のステンドグラスをバックに、五人の男子生徒の美麗な顔面アップが順繰りに映る。
「選ぶ必要なんてない」
「君は、僕たち全員のお姫様だ」
次々と発せられる、五人の攻略対象者たちの決め台詞――。
「ついに逆ハーエンド、キタ――ッ!」
――ゴチンッ。
「っ、いったーいっっ!!」
念願叶った私は歓喜にピョーンっと伸び上がり、ベッドヘッドにしたたかに頭を打ちつけて、痛みと衝撃で跳び起きた。
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