追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 けれど俺の従者兼護衛を務めるルークは、時々このように思い切りのいい決断をすることがある。俺はこれまでの経験上、こう言った時のルークの決断が、大概においていい結果に転ぶことを知っている。
 なにより俺自身、この村の穏やかで気のいい住人たちなら、俺という規格外の存在も寛容に受け入れてしまうのではないかと思えた。
 ――キュルルルル~。
 その時、俺の腹で特大の虫が鳴いた。
 なにを隠そう、獣姿というのはなかなかに腹が減るのだ。
「ま、とりあえず朝飯にしようぜ。アイリーンのカフェからテイクアウトしたキッシュが温まってるぜ」
 ルークの言葉に嬉々として頷いて、俺は昨日から楽しみにしていたキッシュを堪能するべく、軽い足取りでロッジに向かった。

 そうして午後、俺はルークと村の大通りを闊歩してアイリーンのカフェに向かった。
 途中ですれ違う皆が皆、ギョッと目を見開いて俺を振り返った。
「こりゃ、猛獣使いにでもなった気分だな」
 ……どうせ俺は、猛獣だ。
 ルークがポツリと漏らした冗談にしたって笑えない台詞に、俺は尾っぽでルークの太腿をペチンと叩くことで答えた。
「アデッ!」
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