追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
思いの外力が入ってしまったようで、ルークが恨みがましくさすりながら俺を睨んだ。その姿に、俺の溜飲が下がった。
カフェを目前にして、すれ違った老夫婦が、俺の姿を見るや岩のように固まる。この老夫婦はどことなく見覚えがあるような気もしたが、思い出すには至らなかった。
俺とルークは、岩と化した老夫婦を残し、カフェへと足を進めた。
「……ばあさんや、三カ月前に見た白いのがまた見えてる。こりゃ、今度こそ白内障の悪化だろうか?」
「いいや、じいさん。あたしの目にも見えてんだ。こりゃあ目医者どうこうの話じゃねえ。ありゃあきっと、冥府からの御使いに違いねえ。あたしら、ついにお迎えの時が来たんだべ」
「なんだって!? ……ばあさんや、だったら今、どうしてもお前に言っておかなきゃならねえ! 俺はお前と一緒になれてよかった。お前のお陰で、いい人生だった……っ!」
「あたしだって思いは同じさ! あんたと一緒になって、よかったよ。お迎えの時まで一緒だなんて、こんなに嬉しいこたぁないね」
聞こえてくる頓珍漢な夫婦の会話が気になって、チラリとうしろを振り返れば、ひしと抱き合って熱い口付けを交わす老夫婦の姿が、俺の目に飛び込んだ。
……見てはいけない物を見てしまった気がして、俺は慌てて目線を前に戻した。
「おふたりさん、あんたらに迎えが来るのはまだ先だ。これは冥府の御使いじゃなく、俺のペットだ。行き先も冥府じゃなくて、そこのカフェだぜ」
ルークの言葉が果たしてふたりの耳に届いたのかどうか、俺には振り返って確認する勇気がなかった。
カフェを目前にして、すれ違った老夫婦が、俺の姿を見るや岩のように固まる。この老夫婦はどことなく見覚えがあるような気もしたが、思い出すには至らなかった。
俺とルークは、岩と化した老夫婦を残し、カフェへと足を進めた。
「……ばあさんや、三カ月前に見た白いのがまた見えてる。こりゃ、今度こそ白内障の悪化だろうか?」
「いいや、じいさん。あたしの目にも見えてんだ。こりゃあ目医者どうこうの話じゃねえ。ありゃあきっと、冥府からの御使いに違いねえ。あたしら、ついにお迎えの時が来たんだべ」
「なんだって!? ……ばあさんや、だったら今、どうしてもお前に言っておかなきゃならねえ! 俺はお前と一緒になれてよかった。お前のお陰で、いい人生だった……っ!」
「あたしだって思いは同じさ! あんたと一緒になって、よかったよ。お迎えの時まで一緒だなんて、こんなに嬉しいこたぁないね」
聞こえてくる頓珍漢な夫婦の会話が気になって、チラリとうしろを振り返れば、ひしと抱き合って熱い口付けを交わす老夫婦の姿が、俺の目に飛び込んだ。
……見てはいけない物を見てしまった気がして、俺は慌てて目線を前に戻した。
「おふたりさん、あんたらに迎えが来るのはまだ先だ。これは冥府の御使いじゃなく、俺のペットだ。行き先も冥府じゃなくて、そこのカフェだぜ」
ルークの言葉が果たしてふたりの耳に届いたのかどうか、俺には振り返って確認する勇気がなかった。