追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ……ラファーダ王国、恐るべし。私は、マイベリー村に勝るとも劣らない寛容さを見せるラファーダ王国民に、眩暈がした。
 ――バタバタバタッ!
 その時、廊下からこの部屋に向かって駆ける複数人の足音が響き渡った。
 ――バッターンッ!
「今の物音は何事ですか!?」
 勢いよく扉が引き開けられ、クロフを先頭に五名ほどの近衛兵が室内に雪崩れ込んだ。
 室内の惨状に、クロフは表情を変えなかったけれど、後に続く近衛兵はギョッと目を見開いた。彼らの視線は、主にプリンスに向けられていた。
 クロフは割れた窓や飛び散ったガラス片、床に散乱する雑炊を順繰りに見回すと、最後にプリンスに目線を固定してギンッと睨んだ。
 まるで火花でも散りそうに、ふたりの目線が激しくぶつかる。ふたりを中心に、ピリピリとした緊張感が周囲を包んだ。
「兄様!」
 緊張感を割ったのは、ふたりの間に割って入ったノアール様だった。
「僕らは無事だよ! それから物音も、ちょこっと窓が割れちゃっただけで、なにも心配いらないよ!」
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