追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 意を決し、声をあげかけたところで、ふいに私とプリンスの視線が絡んだ。その目が「俺に任せておけ」と言っているように感じた。
 ……プリンス?
 力強い目をして頷くプリンスを見て、私は開きかけた口をそっと閉じた。

***

 その晩、俺がこれまでの寝床のクッションよりも、なおふかふかのクッションで寛いでいると奴がやって来た。
「やぁ、ネコちゃん。王子の続き部屋をまるまる宛がわれるとはいい身分だね」
 ……ふん、相変わらず嫌味な奴だ。
 俺は今晩から、名目上飼い主となったノアールの続き部屋に、寝床を移していた。クッションのふかふか度が増したのは、そのためだった。
 ちなみに、部屋の窓が割れてしまったノアール自身は、枕片手に嬉々としてアイリーンの寝室に移っていった。アイリーンの腕を掴み、上目遣いに見つめて「怖くてひとりじゃ眠れない」などと甘えるノアールを見るに、頭の血管が切れそうになった。しかし、アイリーンの腕を掴む手が小刻みに震えているのを見れば、黙って口を噤むしかなかった。同時に、そんなに怖がるならば、どうして兄や父に打ち明けないのかと、思議でならなかった。
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