追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 そんな奴が殊勝な態度を取ると、それはそれで気持ちが悪いというのは、俺にとって新しい発見だった。
『……それで、どうするんだ?』
 俺は奴の腰のあたりを尾っぽでトンッと叩くことで、言外に了承の意を伝え、話題を切り変えた。
「どうするとは?」
 今はまだ捕縛に動けるだけの決定的な証拠はない。しかし、こいつの後見であるバーモン侯爵夫妻がノアール暗殺という大罪を企てていることは事実で、近い将来、必ず捕縛されるだろう。
 ……その時、こいつはどうするのだろう?
『バーモン侯爵夫妻は、お前の祖父母なんだろう? そうして後見でもある』
 別段、ラファーダ王国の政治になど興味はないが、俺はこいつがこの一件を受けて、なにか大きな決断をしてしまうのではないかと感じ、少し気にかかっていた。
 俺は、鼻持ちならないこいつ自身がどうなろうと、知ったことではない。しかし、こいつの能力や技量に関しては、一定の評価をしている。ならば俺が皇位に就いた時、隣国王がこいつというのは、カダール皇国にとってそう悪いことではない。
 だからそう、こいつが早まった決断をしやしないかと、少しばかり気になったのだ。
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