追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

　そして俺は、「噛む」ではなく、あえて「噛み千切る」と言ってみせたところに、ノアールのセンスを感じた。
　新たに知った飼い主の一面に感心していると、横からぽふぽふと背中を撫でられた。
　ん？　見れば、ノアールが俺に向かいグッと親指を立てて、ニコリと笑う。
　……ほう、ノアールは思っていたより、ずっといい性格をしている！
　俺は毛むくじゃらの顔面に笑みをのせ、尾っぽで、ぽふぽふとノアールの腰のあたりを撫でて返した。
　そんな俺とノアールのやり取りを、アイリーンは少しだけ寂しそうな目をして眺めていた。
「では、全員揃ったようですし、まいりましょうか！」
「そうですわね」
　これ見よがしな咳払いをした後、プリエーラが出発の音頭をとって歩き出せば、令嬢らもそれに続く。
　こうして一行は、何故かプリエーラを先頭に、アムルの丘に向けて王宮を出発した。
「……それにしても、徒歩での移動だなんて聞いておりませんでしたわ。何時間も太陽の下に出ていたら、日焼けをしてしまいまわすわね」