追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 アイリーンをそっと岸上の地面に降ろすと、即座に大きく嘶いてノアールに指示を出す。
 俺の指示を受けたノアールはハッとしたように、無意識のまま持ったままになっていたのだろうバスケットを放り投げ、プリエーラたちに叫んだ。
「腕だけに頼らないで、上半身ごとロープに体を預けて! 足も渡り板の間にかけて、落ちないように固定するんだ!」
「え、ええ!」
「わかりましたわ!」
 プリエーラたちが、ノアールの指示通りに足をかけ、両腕でもしっかりロープに体を預けるのを確認すると、俺は対岸に目線を巡らせた。
 実は分断の瞬間、俺が先に揺れを生じさせていたことが幸いし、ノアールたちは全員が手すりを握っていたのだ。そして今も、分断されて垂直に垂れ下がる吊り橋に、ノアールたちは誰一人欠くことなく必死にしがみ付いていた。
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