追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
ただし、川面に向かって垂れ下がる吊り橋の先端に掴まるノアールの状況が、想像以上に逼迫していた。崩落した瞬間に一瞥しただけでは分からなかったが、ノアールの下には、プリエーラたちのように足をかける渡り板などない。末端の渡り板に手の力だけを頼りに掴まっていた。さらなる問題はその渡り板で、本来かからない方向からの重みを受け、打ち込んだ金具で留めている部分に亀裂が入り始めているのが、この距離からでも見てとれた。
……対岸までは距離がある上に、ノアールから川面まで、僅か数メートルしか離れていない。ノアールを銜え、無事に対岸まで辿り着けるか――!?
しかし俺に、迷っている時間はなかった。
脳内でノアール救出の道筋を模索していたまさにその瞬間、板が真ふたつに割れ、ノアールの体が見る間に、川面へと落下していく。
「いやぁぁああああ――っ!!」
俺は岸の端を強く踏み切って、大きく跳躍した。
黒オオカミの嘶きが、風に乗って微かに耳に届いたような気がした。
……対岸までは距離がある上に、ノアールから川面まで、僅か数メートルしか離れていない。ノアールを銜え、無事に対岸まで辿り着けるか――!?
しかし俺に、迷っている時間はなかった。
脳内でノアール救出の道筋を模索していたまさにその瞬間、板が真ふたつに割れ、ノアールの体が見る間に、川面へと落下していく。
「いやぁぁああああ――っ!!」
俺は岸の端を強く踏み切って、大きく跳躍した。
黒オオカミの嘶きが、風に乗って微かに耳に届いたような気がした。