追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
宮殿の裏庭に出て、夜風を肌に受けながら、遠く輝く月を望む。
火照った肌に、涼やかな夜風が心地よかった。そうしてしばらく夜風に当たっていると、肌だけでなく頭までもが冷えてくる。
……少し、言い過ぎたか?
先の発言への後悔が、脳裏に浮かんだ。
アイリーンへの恋心も、王位継承に対する考え方も、どちらにも正解はない。どんな考えでもって、どんな行動を取ろうと、それは個人の自由なのだ。
仮に奴が、「王位を放棄したから結婚してくれ」とアイリーンに迫ったとしても、俺に奴を責め立てする権利はない。
……だが、仮にも俺が一度は強敵と認めた男が、そんな手段を取るなど考えたくなかった。
そんなのは体のいい言い訳で、奴は逃げている。
奴が放棄しているのは王位ではない。アイリーンを理由にして、弟や父親と正面から対峙するのを放棄しているのだ――。
「とはいえ、俺が見損なっただなんだと声高に叫んだのは、明らかにやり過ぎだ……」
――カサッ。
俺が吐息とともに後悔を吐き出していれば、うしろから草を踏む足音があがる。
振り返ると、奴が艶やかな黒髪に月光を弾きながら、俺を見つめていた。
火照った肌に、涼やかな夜風が心地よかった。そうしてしばらく夜風に当たっていると、肌だけでなく頭までもが冷えてくる。
……少し、言い過ぎたか?
先の発言への後悔が、脳裏に浮かんだ。
アイリーンへの恋心も、王位継承に対する考え方も、どちらにも正解はない。どんな考えでもって、どんな行動を取ろうと、それは個人の自由なのだ。
仮に奴が、「王位を放棄したから結婚してくれ」とアイリーンに迫ったとしても、俺に奴を責め立てする権利はない。
……だが、仮にも俺が一度は強敵と認めた男が、そんな手段を取るなど考えたくなかった。
そんなのは体のいい言い訳で、奴は逃げている。
奴が放棄しているのは王位ではない。アイリーンを理由にして、弟や父親と正面から対峙するのを放棄しているのだ――。
「とはいえ、俺が見損なっただなんだと声高に叫んだのは、明らかにやり過ぎだ……」
――カサッ。
俺が吐息とともに後悔を吐き出していれば、うしろから草を踏む足音があがる。
振り返ると、奴が艶やかな黒髪に月光を弾きながら、俺を見つめていた。