追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「あなたは今、たまたま人型に戻っているにすぎません。吊り橋が分断した今回の状況も、あなたがたまたま獣型でいたからノアールやアイリーンを救出できました。しかし、考えてもみてください。もしあの時のあなたが人型で、咄嗟に変化ができなかったらどうなっていたか……。本来なら恋敵に塩を送るなどしたくはありませんが、変化が出来ないままでは困ります。アイリーンのためにも、あなたには変化を完璧にマスターしてもらいます」
 告げられた台詞に驚き、俺は言葉を失くして、月光を背にした神々しいばかりの奴の立ち姿を見つめた。
 ……黒オオカミ、いや、クロフよ。俺はもう、二度とお前を性悪とは呼ぶまい。
 お前は俺の、生涯の友だ――!
 声に出すことことしなかったが、俺は尊敬の篭る熱い眼差しをクロフに向けた。


 俺がかつてない集中力で瞑想に勤しんでいれば、どこからかやった来たチビオオカミがぴょこんと俺の肩に跳び乗った。
『ねぇ、さっきからなにをやってるの?』
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