追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 言うが早いか、ふたりはくるりと踵を返し、揃って荷づくりに消える。国王様は、相変わらずの読めない笑みで私に手を振ってくれていたが、走行する馬車の窓からは、じきにその姿も見えなくなった。
 私の動揺は動転の域にまで進行し、激しい動悸や眩暈により、座席に座っているのもやっとの状態になっていた。
「おいカーゴ、こいつは驚いたな! どうやらマイベリー村に大小オオカミがくっ付いてくるらしいぜ!?」
「……マイベリー村にはもう、空き物件はない」
 御者台からルークが驚きを隠せない様子で叫べば、カーゴは苦虫を噛み潰したような顔でマイベリー村の住宅事情に触れた。
「ははっ! そんじゃ、うちのロッジの空き部屋を貸してやるんだな。お前の恩人なんだろう?」
「恩人はチビだけだ」
「はははっ! チビだけ預かるのは得策とは言えねーな。そんなことをしたら、でかい方がアイリーンのところに入り浸るに決まってるぜ」
 ……御者台で高笑いするルークは、果たして気づいているのだろうか? カーゴの顔が般若も裸足で逃げ出すくらい、苦く歪んでいることに……。
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