追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
そうこうしているうち、クロフが手綱を握る馬車が追い付いてきて、私たちの馬車に並ぶ。
「アイリーン、こちらの馬車に移りませんか? こちらは最新鋭ですので、スプリングが利いて快適ですよ」
「それにこっちの馬車なら、道中、僕を膝にのっけてモフモフし放題だよ!?」
御者台からクロフが、次いでノアール様が車窓から身を乗り出すようにして叫ぶ。
直後、ノアール様はチビオオカミに変じると、窓からふりふりと可愛らしく尾っぽを揺らしてみせた。
わ、わっ、わぁああっ~!
白状すると、「次の休憩の時、移りますー!」と、こんな台詞がほんの一瞬だけ、脳裏を過ぎった。だけど隣から、まるで裁可を待つような目をして見つめるカーゴの視線に、私はちゃんと気づいていた。
なによりモフモフは大好きで間違いないけれど、それでも私自身、最低限の分別は弁えているつもりだった。
「お誘いいただいて、ありがとうございます。だけど私は、この馬車で帰りますので、お気持ちだけちょうだいします!」
私がふたりに向かって叫べば、カーゴがホッと安堵に息をついたのが、見ずとも気配でわかった。
「……よかったのか? あちらの馬車で、膝にチビオオカミをのっけてモフモフしなくて?」
「アイリーン、こちらの馬車に移りませんか? こちらは最新鋭ですので、スプリングが利いて快適ですよ」
「それにこっちの馬車なら、道中、僕を膝にのっけてモフモフし放題だよ!?」
御者台からクロフが、次いでノアール様が車窓から身を乗り出すようにして叫ぶ。
直後、ノアール様はチビオオカミに変じると、窓からふりふりと可愛らしく尾っぽを揺らしてみせた。
わ、わっ、わぁああっ~!
白状すると、「次の休憩の時、移りますー!」と、こんな台詞がほんの一瞬だけ、脳裏を過ぎった。だけど隣から、まるで裁可を待つような目をして見つめるカーゴの視線に、私はちゃんと気づいていた。
なによりモフモフは大好きで間違いないけれど、それでも私自身、最低限の分別は弁えているつもりだった。
「お誘いいただいて、ありがとうございます。だけど私は、この馬車で帰りますので、お気持ちだけちょうだいします!」
私がふたりに向かって叫べば、カーゴがホッと安堵に息をついたのが、見ずとも気配でわかった。
「……よかったのか? あちらの馬車で、膝にチビオオカミをのっけてモフモフしなくて?」