追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

　……ええっと。そうすると、まさかほんとに目の前の彼が、攻略対象の王子様だったりするのかしら？
　想像すれば、こめかみにツーッと一筋、汗が伝った。
　とはいえ、『桃色ワンダーランド２』の発売前にこっちの世界に転生しまった私に、それを確認する術はない。当然、これ以上考えたところで答えも出ない。
　それでも、既視感の正体が判明したことで、気分はずいぶんとスッキリした。
　……あ、かつ丼が冷めちゃう。
　今度こそ、私はかつ丼を頬張った。かつ丼を食べ進める私を、向かいから男性がやわらかな眼差しで見つめていた。

　私と男性は、ほとんど同時にかつ丼を食べ終えて、一緒に食堂を出た。
「アイリーン、やはりあなたは、優しい女性だ。そうしてちょっとおっちょこちょいで、だけどそんなところがまた、とてつもなく魅力的だ。実は、私はこの後所用でしばらく村を空けるのですが、必ずまたあなたのカフェに伺います」
　……ん!?　んんん？
　食堂を出たところで男性から謎の台詞を告げられて、脳内に特大のクエスチョンマークが浮かぶ。