追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
俺は有難くもない先祖返りにより、生まれつき雨が降ると虎の聖獣に転じてしまう難儀な体質を抱えていた。
それでも地道な努力を重ね、段々とコツを掴み、その制御ももう間もなくかと思われていた。ところが一週間前、俺はまさか雨がやんでも獣のまま、人型に戻れなくなってしまったのだ。
この一週間、いったい何度意識を集中させて、変化を試みてきただろう。どれだけの回数、不完全燃焼のような「プシュッ」という音を聞いただろう。
……もしかすると俺は、一生人型に戻れず、残りの人生を獣姿のまま過ごすのか?
過ぎった想像に、心がプシュッと萎む。心に呼応して、モフモフの毛までが、その体積を減らし、萎んだような気がした。
俺はこれまで、なんだか間が抜けているように感じる、ポポンッ!っという変化の音が、あまり好きではなかった。
まさか、あの音をこんなに恋しく思う日が来ようなど、想像すらしなかった。
……俺はまた、あの音を聞くことができるのだろうか?
もう一週間、獣の目でもすっかりと見慣れてしまった太陽を恨みがましく睨みつけた。
――カサッ。
その時、うしろの生垣から葉擦れの音があがる。
それでも地道な努力を重ね、段々とコツを掴み、その制御ももう間もなくかと思われていた。ところが一週間前、俺はまさか雨がやんでも獣のまま、人型に戻れなくなってしまったのだ。
この一週間、いったい何度意識を集中させて、変化を試みてきただろう。どれだけの回数、不完全燃焼のような「プシュッ」という音を聞いただろう。
……もしかすると俺は、一生人型に戻れず、残りの人生を獣姿のまま過ごすのか?
過ぎった想像に、心がプシュッと萎む。心に呼応して、モフモフの毛までが、その体積を減らし、萎んだような気がした。
俺はこれまで、なんだか間が抜けているように感じる、ポポンッ!っという変化の音が、あまり好きではなかった。
まさか、あの音をこんなに恋しく思う日が来ようなど、想像すらしなかった。
……俺はまた、あの音を聞くことができるのだろうか?
もう一週間、獣の目でもすっかりと見慣れてしまった太陽を恨みがましく睨みつけた。
――カサッ。
その時、うしろの生垣から葉擦れの音があがる。