追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
プリンスのおっかけ珍道中
マイベリー村を発って、今日で四日目。
馬車は順調に進み、私たちは予定より早く既にラファーダ王国の領土に入っていた。このまま行けば、明後日には宮殿に到着するそうだ。
……少し、肌寒い。
私は手持ちの鞄から、カーディガンを引っ張り出して羽織った。肌寒く感じるのは、馬車が北に進んでいるためだ。
ラファーダ王国はセント・ヴィンセント王国の北側に国境を接している。両国には国交も交易もあるが、両王家の交流は乏しかった。理由は単純で、その距離にある。
ラファーダ王国は逆くの字のように南北に細長い形をしているのだが、その王都はセント・ヴィンセント王国から最も遠い北端にある。セント・ヴィンセント王国の北東に位置するマイベリー村からでもラファーダ王国の王都まで、一週間近い日数がかかるのだから、なるほどその距離はなかなかに遠い。
「でも、『>』の形を辿らずに、カダール皇国を横断してショートカットしちゃえば、道程を二日は短縮できるわよね……」