追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 とはいえ困ったことに、カダール皇国とラファーダ王国の二国は、基本的に国交を持っていない。特別な通行許可証を得れば行き来も出来るそうだが、申請は煩雑、かつ、承認にはとても時間がかかるそうだ。
「カダール皇国とラファーダ王国はあんなに多く国境を面して隣り合ってるのに、どうして正式な国交を持たないのかしら。歴史的にも、なにか特別ないざこざがあったって訳でもないし、どうしてかしら?」
 ラファーダ王国、カダール皇国の両国と国交を持ち、良好な関係を築くセント・ヴィンセント王国民としては、少し不思議に思った。
「そんなのは簡単なことだ。虎と狼を同じ檻で飼ってる動物園なんかねえだろう? そういうことだ」
 私がこぼした疑念に、向かいの座席からルークが目からウロコの解答を寄越す。現在、馬車はクロフが手綱を握り、私とルークが車内で座っていた。
 王太子という身分にありながら、クロフには驕りがない。最初からルークに対し、道中の手綱は交代で取ろうと主張して譲らなかった。
 そのくせ、私が「だったら、私も交代で」と御者台に乗ろうとすれば、それは絶対に認めないのだから、おかしな話である。
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