追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「なるほど。なんだか、ものすごい説得力だわ」
「だろ? 俺の私見だが、当たらずしも遠からずだと思うぜ」
 私はすっかり納得し、再び視線を車窓に移した。流れる景色を眺めながら、ふと、目線を空に向けた。
 見上げた空に、もこもこの雲を見つければ、否が応にもプリンスを思い出す。手のひらにモフモフの感触が、その温もりと共に蘇ってきそうだった。
「……プリンスはちゃんと元気にしてるかなぁ」
 出発前の二週間、私は毎日プリンスをモフモフしていた。プリンスはいつも、私の手に静かに身を任せていた。
 だけど、その目が切なさを孕んで揺れていたこと。晴天の空から目を逸らし、憤りに背中を震わせていたこと。私は全部知っている……。
「言ったろう? 聖獣は風邪も引かなきゃ、そうそう怪我だってしない。具合を悪くする方が難しい。だから奴は元気だ」
 私の呟きに、ルークが力強い答えを返す。私を励まそうとするルークの心遣いを感じた。
「そうだったわね」
 私は頷いて答えながら、内心では「本当にそうだろうか?」と、首を傾げていた。
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